SHIBATAROのブログ

映画音響/映画音楽研究の基本文献リスト(4):日本の映画音楽研究 関連文献(2010年代・随時更新)

日本の映画音響・映画音楽関連の書籍を列挙。作曲家のインタビューなどは除きつつ、学術的なものも、学術的でないものも挙げてます。本当は論文を入れると景色が変わりますけども、それはまた追々。

 藤野正明『映画の中のクラシカル』(東京図書出版、2018)

 

特集「映画音楽の技法」『Keyboard magazine』(2017年10月号)

小林淳『ゴジラ映画音楽ヒストリア』(アルファベータブックス、2016)/『ゴジラの音楽:伊福部昭、佐藤勝、宮内國郎、眞鍋理一郎の響きとその時代』(作品社、2010)

栗原 詩子『物語らないアニメーション: ノーマン・マクラレンの不思議な世界』(春風社、2016)

音楽学』に谷口昭弘先生の書評あり。

谷口昭弘『ディズニー・ミュージック:ディズニー映画 音楽の秘密』(スタイルノート、2016)/『ディズニー映画音楽徹底分析』(スタイルノート、2006)

 

尾鼻崇『映画音楽からゲームオーディオへ:映像音響研究の地平』(晃洋書房、2016)

高岡智子『亡命ユダヤ人の映画音楽:20世紀ドイツ音楽からハリウッド、東ドイツへの軌跡』(ナカニシヤ出版、2014)

音楽学』に中村伸子さんによる書評。

長門洋平『映画音響論:溝口健二映画を聴く』(みすず書房、2014)

小林淳『伊福部昭と戦後日本映画』(アルファベータブックス、2014)

細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか: アニメーションの表現史』(新潮社、2013)

小沼純一『映画に耳を: 聴覚からはじめる新しい映画の話』(DU BOOKS、2013)

菊地成孔大谷能生『アフロ・ディズニー:エイゼンシュテインから「オタク=黒人」まで』(文藝春秋、2009)

 

 

映画音楽に関する公開研究会「無声期の映画館における和洋合奏」開催(1/13)のお知らせ

今年度も早稲田大学演劇博物館 演劇映像学連携研究拠点の公募研究チームの公開研究会を行います。例によって正月明けです。お忙しい時期かと思いますが、ぜひご参加ください。(随時更新)

  • フィルムセンター所蔵フィルム以外で現存する『忠次旅日記』の貴重な断片フィルムの上映が決定しました(約1分×2本)(更新2017/12/24) 
  • 第1部のシンポジウムの詳細と第2部の参考上映の映画説明者・映画伴奏の演奏者情報を追記しました(更新 2017/12/13)
  • 作品名を公開しました! 『忠次旅日記』です。当日はセンター試験の初日ですが、ご都合つく方は是非お越し下さい!!!(更新 2017/11/28)

公開研究会 無声期の映画館における和洋合奏ーー楽譜資料「ヒラノ・コレクション」とSPレコード

日時 2018年1月13日(土)13:30 ~ 17:00(予定)
場所 早稲田大学小野記念講堂
入場無料・予約不要

http://www.waseda.jp/prj-kyodo-enpaku/activity/2018_0113.html

趣旨

無声映画の時代、時代劇には和洋合奏で音楽がつけられていました。演劇博物館に所蔵されている「ヒラノ・コレクション」は、当時の映画館で実際に使用されていた楽譜資料で、演奏の実態を今日に伝える貴重な資料となっています。ところが、同時期に流通したSPレコードには、コレクションの譜面にはない様々な鳴物の音が確認できます。そこで研究会の第1部では、楽譜や文献とともに、改めてSPレコードの音源等を交えて当時の和洋合奏のあり方を再検証します。第2部ではその成果に基づき、鳴物をふくめた和洋合奏によって『忠次旅日記』の上映を行います。

プログラム

第1部 シンポジウム(13:30-15:00)

発表 日活直営館における時代劇伴奏と和洋合奏
  柴田康太郎(早稲田大学演劇博物館研究助手)
発表 ヒラノ・コレクションからみる場面別表現と邦楽器
  白井史人(日本学術振興会特別研究員PD)
発表 無声期日本映画の「尖端」と映画館における語り・音楽
  紙屋牧子(東京国立近代美術館フィルムセンター特定研究員)
音源紹介 『忠次旅日記』に関するSPレコード
  片岡一郎(活動写真弁士)
邦楽解説 SPレコードにおける邦楽表現
  堅田喜三代(邦楽演奏家
コメント  アーロン・ジェロー(イェール大学教授)

15:00 –15:15 休憩(15分)

第2部 参考上映『忠次旅日記』(15:15-17:30)

 1927年、日活大将軍、111分、35mm、染色・無声・不完全  
 東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
 監督:伊藤大輔、出演:大河内傳次郎、中村英雄、澤蘭子、伏見直江

※フィルムセンター所蔵フィルムの上映前に以下の2本の現存断片フィルムも上映します
 ・「甲州殺陣篇」(早稲田大学演劇博物館蔵、1分)
 ・「信州血笑篇」(牧由尚氏個人蔵、1分)

出演 
片岡一郎(活動写真弁士)

湯浅ジョウイチ(指揮)
鈴木真紀子(フルート)、古橋ユキ(ヴァイオリン)、川上統(チェロ)、丹原要(ピアノ)、宮澤やすみ(三味線)、堅田喜三代(鳴物)

※「ヒラノ・コレクション」から新たに選曲を行い上映します

主催 早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点 公募研究「楽譜資料を中心とした無声期の映画館と音楽の研究」

協力:東京国立近代美術館フィルムセンター、日活株式会社

映像・画像提供:牧由尚

http://www.waseda.jp/prj-kyodo-enpaku/activity/2018_0113.html

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(日本)映画史の入門書・入門(作成中)

【2018/04/10更新】

質問があったので、武蔵美の学生向けに入門者向け映画史(+分析)の参考文献リスト(?)を作ってみた。通史として書かれつつコンパクトで1冊にまとまっているものをメインにして。もちろんコンパクトに書かれた歴史記述というのは(間違いだってあるし、主観的と思わずにいられない記述もあるし)1冊よんでお終いということにしないことが大事だけど、まずは1冊読むべし。

質問のなかには、1980年代以後についての記述がある書籍を教えてほしいというものもあったのだけど、あまりまとまった記述は思い当たらないので他にご存知の方ぜひお教えください。

映画史の新書

さて、まず新書。映画を扱う新書はたくさんあるけれども、映画史という体裁の本としては、ひとまず以下のものがある。『日本映画110年』や『フランス映画史の誘惑』は作品ベースの歴史。『ハリウッド100年史講義』や『映画館と観客の文化史』はもっと広く産業史・社会史・文化史といった観点からの記述。

    

僕のやってる授業は「日本映画史」なので『日本映画110年』については補足を。日本映画史のより詳しい本に佐藤忠男『増補 日本映画史』(全4巻)という大部の書物がある。特に、大よそ10年単位で章立てをしている部分などは、比較してみると面白いと思う。1950年代なんかは『日本映画110年』は佐藤の論述も下敷きにしつつ(章立て=節立てなど)、これを大胆に圧縮したものとしても読める。『日本映画110年』を読んでみて気になったところは『増補 日本映画史』を参照して、2冊を見比べながら筆致から垣間見える筆者の個性も読める。歴史記述がたんなる「客観的記述」ではないし、そういうものとしてはありえないということが、映画史という点からも確認できそう。

   

ちなみに、新書がこういうふうに4冊も挙がる一方で、文庫となると浮かぶものがない。田中純一郎の『日本映画発達史』(全5巻)などは日本映画史の必須文献だけど、極めて詳細な5巻本だし入門書ではない。当たり前ながら、ゴダールの『ゴダール 映画史(全)』は1巻本で入門書みたいに見えるにせよ、いわゆる通史ではない。手に取ればすぐわかるけども。

日本映画史にかんするその他の単行本

次に、新書・文庫以外で一冊でまとまっているようなもの。日本映画史から外れるなら『映画映像史』がコンパクト。日本映画史だと、北海道新聞の連載をもとにした『日本映画100年史』が読みやすい。新聞記者が書いていることもあって社会史的なところも強く書かれているので、社会背景などを踏まえて読むのに良い。と同時に、北海道での事例を織り交ぜて書かれているので、一般的な入門書とはいえないところもあるけども、そこに地方から見る日本映画史みたいな特徴がある。個人的にはそこがとくにおもしろい。

『世界の映画作家31 日本映画史』(キネマ旬報、1976年)も古い本だけど、1冊で詳細な記述が行われていてとても充実している。映画100年(1995年)の頃に作られた展覧会の図録やムック本にもコンパクトで読みやすい本がある。それから、村山匡一郎編『映画史を学ぶ クリティカル・ワーズ(新装増補版)』(2013)も参考書として有意義。これはその名の通り用語集なのだけれども、10年ごとにくぎって簡単に2~3頁ずつその時代をまとめた記述もあるので、ちょっと通史的なところがある。

     

ちなみに「国会図書館デジタルコレクション」にも映画本でもとんでもなく貴重な本がたくさんオンライン公開されている。歴史的文献だけども。日本映画史ということでいえば、筈見恒夫『映画五十年史』(鱒書房、1947年)がある。もっと遡れば、映画評論社編『定本世界映画芸術発達史』(映画評論社出版部, 1933)もある

1980年代以後の歴史を扱うもの

で、1980年代以後の歴史記述っていうことで質問があったので考えてみたのだけれどもあまり思い浮かぶものはないのだけど、Cine Lessonシリーズはコンパクトでとてもいい仕事。これまで計18冊出ていて、いろいろなトピックを扱った本が出ているのだけれども、日本映画史で下の2冊を、ついでに世界映画史の1冊(これは古い時代を扱うものだけど)を挙げてみた。それから『映画秘宝』系のものも。

  • 武藤起一、森直人編『〈日本製映画〉の読み方1980~1999 / シネレッスン(6) 』フィルムアート社、1999年。
  • 森直人編『日本発 映画ゼロ世代 新しいJム-ヴィ-の読み方/ シネレッスン別冊』フィルムアート社、2006年。
  • 浜口幸一編『「逆引き」世界映画史! / シネレッスン(7) フィルムアート社、1999年。 

       

映画分析・映画編集

ついでに、他にも質問があった映画の分析手法の教科書みたいなもので平易なものについて(この項目についてはもっとたくさん書いたのに消えてしまったので簡単に)。この種の本でこれ!というものに僕はまだ出会っていなくて紹介に困るのだけど、日本映画を事例にした映画編集についての本としては、今泉容子『映画の文法:日本映画のショット分析』がある。編集技法入門事典みたいな感じ。日本映画を離れれば編集技法事典的なものはたくさんある。同じ「映画の文法」というタイトルのダニエル・アリソンの本もあるし、画面の写真もたくさん入った本で1冊になってるのは『映画表現の教科書』とかもある。

でも、映画の文法の枠組みを知ろうと思えば、何よりもボードウェルとトンプソンの『フィルムアート:映画芸術入門』が重要な教科書。まずは第Ⅳ部かしら。

    

 作り手側の言葉によるものでおもしろくて刺激的なものには、ヒッチコックトリュフォーの『定本 映画術』や塩田明彦『映画術』が定番か。目から鱗が落ちまくるので大変。

 

その他

また追々。