SHIBATAROのブログ

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柴田康太郎のブログ。映画音楽・映画・音楽の研究してます。

『映画館に鳴り響いた音』関連音源紹介2:映画館の楽団レコード

拙著『映画館に鳴り響いた音』に関連した音源紹介の続き。

休憩奏楽関連レコード

1で紹介したレコードは映画伴奏レコードだが、楽団名はコロムビアやビクターになっていたのに対し、こちらは映画会社の名が明示されている。100年前の映画館の楽団の演奏が聴ける。映画館での演奏そのままであるわけではないのだが、どんな様子であったか窺えるのは興味ぶかい。

映画館で活躍した楽団、そして映画館で演奏された休憩奏楽曲のレコードは、映画伴奏レコード以上にたくさん出ているのだが、インターネット公開されているのはごく僅か。《カルメン》のようなクラシック音楽的なものから、《長唄 元禄花見踊》のような和洋合奏曲までが、同じ場で同じように演奏されていたのだから、現在の音楽環境とのちがいに驚かされる。こちらはYouTubeにもいくつかあったので合わせて紹介。

ハタノ・オーケストラ

波多野福太郎・波多野鑅次郎兄弟らのハタノ・オーケストラは1916年頃から映画館で活躍した。当時の東京の映画館における代表的な洋画専門館だった銀座金春館はハタノ・オーケストラの演奏を売りにしていた。金春館と浅草帝国館の映画ファンはとりわけ音楽への関心も高く、プログラムを見ていると映画館の音楽会場としての様子が見えて驚かされる(拙著 第2章参照)

ハタノ・オーケストラについては武石みどり先生が詳細な論文 を書かれている。また、音源もすでに絶版ながら2010年に以下で何曲かCD化されている。

管絃樂 天国と地獄

波多野鑅次郎(指揮)、ハタノオーケストラ團

東京レコード, 3042

動画再生1

動画再生2

管弦楽:キスメット

波多野鍵次郎(指揮)、Kハタノ管弦楽団

ニッポノホン, 15616, 1925-04

動画再生

管弦楽:オールド・カムレード

ハタノ管弦楽団

ニッポノホン, 15928
再生1

管弦楽:オリエンタルダンス

K波多野オーケストラ團

ヒコーキ、2118

動画再生

松竹和洋合奏団

1920年に映画製作のため設立された松竹キネマの興行で活躍した島田晴誉と松竹管弦楽団の音源(拙著117-20参照)。松竹は1920年の披露目興行のタイミングから40名のオーケストラを設立して演奏にあたらせたが、このようなことを映画会社が行なったというのは極めて異例だった。島田晴誉は洋画専門館の浅草帝国館、邦画上映館の浅草松竹館、浅草電気館などで演奏にあたり、松竹総楽長として日本の映画伴奏界をけん引した。インターネット公開されているのは以下のみだが、当時はさまざまな音源が出ていた。これは比較的早い録音。

管弦楽:ドナウ河の漣 

Iosif Ivanovici(作曲)、島田晴誉(楽長指揮)、松竹管弦楽団
ニッポノホン, 16193, 1926-07

再生1

和洋合奏:浅草見物 歓楽を逐ふて

島田晴譽(指揮)、松竹和洋合奏団 

ニッポノホン, 16924, 1928-07

「接続曲」(人気曲メドレーといったもの)の《歓楽を逐ふて》がYouTubeにもあった。この曲については拙著392頁参照。

動画再生

和洋合奏:映画情調

島田晴譽(指揮)、松竹和洋合奏団

コロムビア, 25339, 1928-04

動画再生39-A

日活管弦楽団

日活は1912年設立の映画会社だが、松竹の洋楽推進に押されて洋楽合奏にも強く力を入れるようになった。松竹のように総楽長という職がいつからあったかは定かでないが1925年には日比谷公園奏楽で広く人気のあった田中豊明を総楽長に迎える。田中は当初、洋画専門館の溜池葵館や神田日活館で演奏したが、神田日活館が日活封切館になる1926年からここを拠点に邦画上映にも携わるようになる。

ちなみに、1928年に神田日活館を訪れた宮沢賢治に絡めて以下のようなコラムを書きました。

管弦楽:アイダマーチ(Aida Grand March)

Verdi(作曲)、田中豊明(指揮)、日活管弦楽団

ニッポノホン, 16229

再生1

管弦楽:マーチ ミリタリー(Marche Militaire)

Shubert(作曲)、田中豊明(指揮)、日活管弦楽団
ニッポノホン, 16229

再生1

管弦楽カルメン

Bizet(作曲)、田中 豊明(指揮)、日活管弦楽団

ニッポノホン, 16373, 1927-01

再生1)(再生2

管弦楽カルメン

MEILHAC HENRY(作詞)、HALEVY LUDOVIC(作詞)、Bizet(作曲)

田中豊明(指揮)、日活管弦楽団 

コロムビア, 25175, 1927-01

再生1)(再生2

管弦楽:オリエンタル・ダンス

田中豊明(指揮)、日活管弦楽団
コロムビア, 25188

再生1

管弦楽:スパニシュセレナーデ

田中豊明(指揮)、日活管弦楽団

コロムビア, 25188

再生1

長唄 元禄花見踊

竹柴瓢助(作詞)、杵屋正治郎(三世)(作曲)、田中豊明(編曲)

日活和洋管弦楽団,田中豊明(指揮) 

ビクター, 50423, 1928-10

再生1

再生2

日本交響楽協会

1927年にパラマウント直営の映画館となった邦楽座では、当初より山田耕作と日本交響楽協会が演奏していた。以下はまさにその頃の音源(拙著 119-20頁参照)。

ビューティフル・ダニューブ(下)

ヨハン・シュトラウス2世(作曲)、山田耕作(指揮)、日本交響樂協會

コロムビア, 25138, 1928

再生1

参考 交響楽:ドナウ河の漣

イワノビッチ(作曲)、近衛秀麿(指揮)、新交響楽団
コロムビア, 27647, 1933-12

※新交響楽団のメンバーにも映画館で活躍したものは少なくなかったので

再生1)(再生2

参考:松竹座

映画上映とレヴューなどの実演を組み合わせた道頓堀松竹座(大阪松竹座)の音源で公開されているもの。拙著では1930年の「春のおどり」が松竹座トーキーに組み込まれたことにふれた(437-38頁)。

松竹少女歌劇主題歌:「春のおどり」春の唄(琥珀篇)

岸本水府(作詞)、塩尻精八(作曲)、松竹座楽劇部女生徒

コロムビア, 26309, 1931-04

再生1